「才能をつなぎ、世界をポジティブにする」を企業理念とし、才能を活かす機会を提供するクリエイティブ・プラットフォーム事業を展開するピクスタ株式会社様(以下、敬称略)。今回は、その中で家族・子ども向け出張撮影プラットフォーム「fotowa」のブランディング映像を制作させていただきました。
このプロジェクトストーリーでは、ピクスタ株式会社 fotowa事業本部 fotowa事業部 横澤様、コーポレート本部 広報グループ 西様、小林様(以下、敬称略)をお迎えし、本作品のプロデューサーの比嘉、ディレクターの山部、マーケターの小田嶋を交え、6名の対談形式でブランディング映像制作への想いをお伝えしていきます。
アウターにもインナーにも効果を感じたブランディング映像制作
直接的な販促を目的にせず、企業が理想とする認知やサービスへの共感の獲得を主な目的として制作されるブランディング映像。中長期的な視点での制作が必要なだけでなく売り上げに直結しにくい分、制作効果の見えにくさに課題を感じられる方は多い印象です。
ーー今回は出張撮影サービス「fotowa」のブランディング映像制作をご一緒させていただきました。制作効果が見えにくいという懸念もあったのかなと思いますが、率直に制作してみていかがでしたか?
横澤:アウターブランディングのみならず、インナーブランディングとしても効果を感じていて、制作して良かったです。アウター視点では「予約率が低い」「認知から利用までの期間が長い」という二つの課題に対してすでに効果を感じています。具体的に、今回のブランディング映像は5年間の使用を予定していますが、“映像の制作費”を“5年間で獲得見込みのユーザー数”で割るとCPAの目標値をクリアできそうです。今後は今以上に映像の活用の幅を広げていく予定です。
また、インナーの観点では“fotowaのユーザーがリアルに考えていること”や“fotowaが提供している本当の価値”を改めて社内に共有することにも繋がりました。fotowaユーザーの声を直接聞いたり、インサイトに触れたことがあったりするメンバーは社内でも一部です。今回は、そんなユーザーの本当の想いを直接知る機会がなかったメンバーに気づいてもらうきっかけをつくることができました。実際に「うるっとしました」と反響を多くもらっていて、手応えを感じています。
ーー効果を感じていただけているとのことで、よかったです。少し触れていただいたブランディング映像制作に至った経緯を具体的にお伺いできますでしょうか?
西:fotowaは出張撮影サービスとしてシェアがあり認知も獲得している一方で、広報としてその先のファン化に難しさを感じていたことが今回の映像制作のきっかけです。
「fotowaだから良い、fotowaだから撮りたい」と思ってもらえていない状態を超えるためにネックになっているのが“fotowaへの興味〜理解〜共感”を担う情報の不足だと考え、そこにアプローチするにはどうするべきかを検討していました。
横澤:事業責任者としてはfotowaの売上アップにあたり二つの課題を感じていて、その一つがサイト訪問者を予約に繋げられていないことでした。Webサイトの改善を繰り返す中で、画像やテキストの情報だけでユーザーを惹きつけることには限界があると感じていました。そのため今まで取り組んでいた以外の方法でサービスの魅力を伝える必要性があるなと。
もう一つの課題はサービスの特性上、「認知から利用までの期間が長いこと」にありました。広告経由でfotowaを知ってもらった後、実際に写真を撮る機会までには時差があります。そのため「写真を撮りたい」と思った時にfotowaを思い出してもらえるよう、認知の段階でサービスの印象を強く残してもらえるような手段の必要性を感じていました。
そして、この二つの課題の解決に有効なのが映像だと考え、広報の西と小林に制作を依頼しました。
ーー色々な映像制作会社を比較された中でエレファントストーンにご依頼いただいた理由はあったのでしょうか?
西:型にはまらず、fotowaが伝えたい価値観やfotowaが持っている価値を届けるという視点で映像のご提案いただいたのがエレファントさんで「ここだ」と決めました。
色々な制作会社さんにご相談したのですが、各社、得意なパターンにfotowaを当てはめてご提案くださった印象でした。その中でエレファントさんはfotowaの良さを突き詰めて考えて、知ろうとしてくださって、fotowaに合うだろうという提案をしてくださったのが良かったです。
小林:社内にエレファントさんを知る社員がいたことがお声がけのきっかけだったのですが、その社員が「エレファントさんが1番寄り添ってくれる印象がある」と言っていたんです。実際にヒアリングや提案を通してその寄り添う姿勢はすごく感じましたし、満場一致でお願いしましたよね。笑
横澤:そうですね。加えて、比較していた制作会社の中で唯一“つくる”だけでなく“届ける”ところまで考えてくれたのがエレファントさんでした。
企画提案時に視聴維持率の目標値やその目標を実現するためのアイデアを出してくださって、さらには弊社が検討していなかった映像広告の提案までしてくれました。つくった後にどう活用するかまで考えている会社とそうでない会社を比べたら、前者の方がアウトプットのクオリティが高いはず。そういう企画のつくり込み方への期待もあって、お願いすることに決めました。
ーーエレファントストーンの皆さんはどんな想いで提案に臨みましたか?
比嘉:お問い合わせをいただいて最初に拝見したオリエンテーション資料に、fotowaの皆さまの想いやfotowaユーザーの方のインサイトが詰まっていて。子育て中の自分の想いを代弁してくれているように感じました。資料を通してサービスが自分ごと化できて、「こんなに素敵なサービスを教えていただいてありがとうございます」という感覚でしたね。笑
その時からfotowaの魅力を存分に感じていた分、「これは絶対に自分たちが制作したい!」と思い、提案に臨みました。
山部:オリエンテーション時に西さんと小林さんの想いがとても伝わってきたのは今でも覚えています。「この想いに応えるには覚悟を持って制作しなきゃいけない」と引き締まりましたね。
「fotowaの核となる部分を伝える映像をつくりたい!」という皆さんの想いに感化されて、制作チームでもかなり議論を重ねましたし、毎日お風呂の中でも企画のアイデアを練っていました。笑
その企画を考えるプロセスもすごく楽しかったので、お任せいただけると聞いた時は嬉しかったです。
小田嶋:皆さまの熱い想いを受けて、“どうしたらfotowaだからこそのご提案になるか”をとても意識しました。今回はオリエン時に「最後まで見てもらえる映像にしなければ意味がない」と言葉をいただいたので、最後まで見てもらうためのロジックをどう企画に落とすかが重要で、その企画の前段を考えるのが自分の役割だと捉えてプレゼンに臨みました。
実際にプレゼン時はその点をご評価いただいて、fotowaの皆様と想いが繋がったように感じて嬉しかったです。
プロジェクトメンバーの目線が揃っていたから良いブランディング映像が生まれた
ーー映像の企画段階から撮影当日まで、両社でかなり議論を重ねられたとのことでしたが、今回、良いブランディング映像を制作できた要因はそうした議論の過程にあったのでしょうか?
横澤:そうですね。エレファントさんとは「fotowaユーザーってこんな人たちだよね」「こういう想いで写真を託してくれてるよね」と、とにかくユーザーのことをずっと話していました。だからこそfotowaのユーザーの解像度を高いレベルで共有でき、良い映像にも繋がったのだと思っています。
小林:fotowaというサービスは、ユーザーのことばかり考えているんですよね。だからこそ、fotowaのメンバーは“fotowaユーザーのインサイトを一番に考えた映像=fotowaの本当の価値が伝わる映像”と考えていました。エレファントさんはその想いに共感してくれていた印象で、両社で目線が合っていたのは成功要因の一つになったと思います。
西:今回はリアルさにもとことんこだわりましたよね。ユーザーインタビューを軸とした映像にすると決まってから、エレファントさんには「出演するユーザーの方は生後1ヶ月の赤ちゃんがいる実際の家族でお願いしたい」とお伝えしました。
厳しい条件であることは承知の上で、あるべき論で“ありのままのfotowaを届ける”ことにこだわり抜いて、そのリアルさの演出にたどり着いた。これも良いブランディング映像になった要因だと思います。
山部:確かに実家族に出演いただくのは実現ハードルが高いですが、僕も同意見だったので実現させたい想いは強くありました。
僕は、今回良い映像を制作できた理由の一つに“議論の過程でエレファントストーン側の目線が引き上がった”ことがあると思っていて。fotowaの皆様との議論を経て適切にサービスを捉えられるようになったからこそ、“fotowaユーザーが共感するようなリアルな言葉や空気を撮るには、疑似家族ではなく実際の家族を撮影させていただく必要がある”と感じていました。
オールキャストの場合、家族の雰囲気はつくれてもリアルさは出せないと思っていたので、こうして描いたことが実現できてよかったです。
横澤:条件が揃ったことに加えて、撮影したのがエレファントさんだったから自然な雰囲気が撮れたんじゃないかとも思いますね。エレファントさんが良い空気をつくってくれるので、出演者の方にリラックスして撮影に臨んでもらえて、結果的に自然な姿を撮れたのだと感じます。
今回のインタビュー映像のように“撮影対象者の自然な姿を引き出したい場合は、その空気を引き出せる、居心地の良い雰囲気づくりができる会社を選ぶことが重要だった”と振り返って気づきました。エレファントさんがそういう制作会社だったのは運がよかったですね。
比嘉:すっごく嬉しいお言葉ありがとうございます。撮影現場の良い雰囲気づくりは、映像に出演いただいたfotowaのフォトグラファーさんの力によるところも大きかったため、素敵なフォトグラファーさんをアサインしてくださったfotowaの皆様のおかげもありますね。
ブランディング映像の良し悪しには、つくり手や依頼主、出演者がそのブランディング映像のコアな部分、今回でいうと“fotowaというサービスに共感しているかどうか”が大きく関わってくると思っています。今回はプロジェクトメンバーそれぞれがfotowaに共感して、その価値を形にするにはどうするべきかを考えて議論できるメンタルがあり、全員が熱量の高い状態でつくれたから、良いものになったような気もしています。
ーー試行錯誤の上で行った撮影では、映像で届けたいとされていたメッセージがインタビュイーの言葉として自然に出てきたと伺っています。
横澤:そもそも、ブランディング映像を台本無しのリアルなインタビューでつくるということがとても大きなチャレンジだったと思います。今回はさらに、その責任重大なインタビュアーを山部さんに託しました。その理由はエレファントの皆さんとの日々のやりとりの中で“fotowaユーザーの解像度”が自分たちと同等になっていると感じていたこと、山部さんの人柄ならきっとインタビュイーと信頼関係を築いて言葉を引き出してくれると信頼していたことにあります。
実際、インタビューの様子をバックヤードで見ていて、欲しいと思っていた言葉が出てきた時はガッツポーズしましたし、リラックスした中で本音をそのまま語っていただいた言葉だったから、すべてがリアルで、観る方を惹きつけるものになったと感じています。
西:「fotowaを体験してもらったら絶対に特別な感情が生まれるはず」と確信がありましたが、それを言葉として引き出す難しさはずっと感じていました。ただ、その難しいインタビューに2社でとことん向き合っていたおかげで、インタビュー前から良い流れができていたようにも思っていて、当日、実際にfotowaを体験して感じた価値としてインタビュイーが語ってくれた言葉が、私たちの引き出したかったメッセージと合致していた時は嬉しかったです。
“頼まれていないのに”寄り添う姿勢が広告配信の成果にも
ーーエレファントストーンとの制作を振り返っていかがでしたか?
小林:今回、私たちは相当注文が多かったと思うんですよね。「こうしたい」「こうあるべき」って。笑
でもエレファントさんはそれにしっかりついてきてくださるだけでなく、むしろ私たちの要望に乗っかって一緒に考えてくださって、高め合っていけた。「一番届けたいことを届けるための一番良い方法ってなんだろう」を一緒に考えて、私たちの想いに映像のプロとして応えてくれる、信頼できるパートナーでした。
fotowaはユーザーに寄り添うことを大切にしているサービスですが、今回エレファントさんはそんなfotowaに寄り添ってくれました。最初に「一緒に働くならエレファントさん」と思った感覚は間違っていなかったですし、似た価値観を持つ2社で制作できたからこそ、納得のいく映像がつくれたように思います。
横澤:エレファントさんは本当に信頼できる人たち。先ほどのお話にもありましたが、撮影に出演できる実家族を本当に厳しい条件の中で探してくれたり、小田嶋さんは打ち合わせに参加できなかったのに自分たちに会うためにランチに来てくれたり。エレファントさんに加え、うちの小林も、撮影がほぼ終わっているにも関わらず別件終了後に撮影場所までタクシーで駆け付けたり。
ここにかかっている労力ってコスパ・タイパと言われる時代と逆行していますが、自分はそういう人を信頼します。“労力を惜しまない人が信頼できる”とは限りませんが、“信頼できる人って労力を惜しまない”なと。
小田嶋:頼まれてもいないのにランチに行ったの、懐かしいです。笑
当時は具体的な広告のお話をしておらずfotowaの皆様とお会いできていなかったので、純粋にお会いして親睦を深めたくてランチだけご一緒しましたね。笑
ただ、そういうコミュニケーションがあったからこそ、具体的な広告配信の段階で皆様と活発に議論ができて、結果、適切なターゲットに適切なタイミングで広告配信できたと思っています。今回はYouTubeで配信し、結果は30秒以上の視聴率が約50%、最後まで見てくださる方が約30%。業界平均と比較しても良い数字で着地させることができました。
企画段階で“最後まで見てもらえる映像”にこだわることをお伝えしていた分、配信結果が出るまではドキドキもしていたのですが、fotowaの皆様との議論を経て、視聴者に適切に届いていることが分かる結果が出て良かったです。
ーー当初、広告配信は検討されていなかったかと思いますが今回の結果はどう捉えられていますか?
西:映像を届けたい方にしっかり届いたのが分かって良かったです。「こんなに見てもらえるんだ」と驚きました。
今回の広告配信は販促の意図なく、かなりターゲットの照準を絞って配信したからこそ、完全視聴率約30%という結果が出たのだと思います。そのターゲットにピンポイントに当てることができたのも、広告配信の話が具体化する前からfotowaに寄り添ってくださって、fotowaへの理解を深めてくださっていたから。
映像が良かったのはもちろん、その上で配信先が的確だった点にも広告配信結果が良かった理由があると思っていて、お任せして正解でした。
AIにはまだつくれない、見る人の心を動かすブランディング映像ができた
ーーエレファントストーンと制作した映像に対して感じていただけた価値があれば伺えますでしょうか?
西:fotowaが大切にしている価値観やユーザーに寄り添う姿勢って、言葉で語ると薄っぺらくなってしまいがちですが、説得力のある映像として形にできたのが良かったです。
「この映像を見てもらえばfotowaの価値を感じてもらえる」と思えましたし、実際に見た人から良いねと思ってもらえる。社内からの反響も良くて「うるっとした」「泣きそうになるから気軽に見れない笑」という声をかけてもらえています。fotowaの、“言葉で伝えるだけじゃ絶対に伝わらない本当の良さ”が伝わるものになったのではないでしょうか。
このブランディング映像は“1年で効果が出る”という類のものではなく、“5年程のスパンで利用しながらfotowaの価値を上げていくことができる”ものです。長く使っても色褪せない映像、これから活用するのがとても楽しみです。
小林:実はナレーション収録時に映像を見返していたら涙が出てきて。ユーザーの感想からしか得られないからこそ表現するのが難しい、fotowaが大切にしているもの、提供したいと思っているものが全て映像に詰まっていると改めて感じ、感情が溢れました。出来上がっただけで感謝の気持ちです。
ただもちろん完成して終わりではなくこれからますます効果を大きくしていきたいので、今後の活用方法を想像してワクワクしています。
横澤:制作を振り返って気づいた価値は、今回のエレファントさんの仕事はAIでは代替できないということです。生成AIの誕生と進化によって映像を安く早くつくることはできるようになりましたが、会社やサービスの顔となるブランディング映像で伝えたいことを届けるのは、そんなに簡単ではないはず。
AIが便利で今後活躍するのは間違いないものの、人の心を理解して感動を生み出すことはまだまだ難しい。それができるのは“心で感じて、心で伝える”をやり抜けるエレファントさんのような制作会社だと実感しました。
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