株式会社 USEN様は「お店の未来を創造する」をミッションに掲げ、店舗BGMからレジ、通信、防犯カメラ、デジタルサイネージなど店舗の開業と運営をトータルにサポートするサービスを展開しています。そんなUSEN様が今回の映像制作に至った想いや求める映像を、どのようにストーリーに落とし込んでいったのか、ディレクターを勤めた山部に制作の様子を聞いてきました。
本作の動画制作にはどんな印象がありましたか?
「お客様と一緒になって作品を作りあげていったことがとても印象に残っています。最初のご提案から、企画や映像表現を検討していくまで密にコミュニケーションを取り、担当者さんと話し合いながら制作を進めることができた作品でした。」
一緒になって作っていけた背景にはどのような理由があったのでしょうか?
「早い段階で色々とご提案していたことですかね。問い合わせがあった後に初回の打ち合わせでヒアリングさせていただき、次の打ち合わせでは企画をご提案しました。まだ資料は求められてはいなかったのですが、初期のタイミングで迅速に対応したことで、コミュニケーションもスムーズに進んでいったと思います。そこから担当者さんとの距離が近くなっていきました。」
ー担当者さんとの距離が近くなった背景についてお伺いしていきたいのですが、まずはじめはどのようなご相談だったのでしょうか?
「「USENは店舗BGMを配信している会社のイメージを持たれてしまうけど、本当は店舗をトータルサポートしていることを認知してもらいたい。それをストーリー調の映像で作りたいのでコンペで提案してほしい」というお問合せでした。」
実際にどのように企画を考えていったのでしょうか?
「USENさんのミッションでもある「お店の未来を創造する」を、映像制作のコンセプトワードとしていただいていました。映像コンセプト「お店の未来を創造する」と、USENさんのビジョンである「店舗の開業と運営をトータルでサポートする」という2つのワードから、どんなことが言えるだろう?と考えていきました。その時に抽出されたのがこの4つの言葉です。
「夢を叶える」「人生を共に歩む」「寄り添う」「安心感」
お客様のご要望はストーリーで表現してほしいとのことだったので、これらの言葉からサクセスストーリーを軸にした2つの企画を作成しました。」
USENさんのビジョンである「店舗の開業と運営をトータルでサポートする」がすごく伝わりそうなシナリオですね。
ですが、本作はサクセスストーリーというより、店舗に訪れた方が主人公になっている印象なのですが・・・
「シンプルなストーリー調の2案に加えて、実はもう一案、別の切り口で考えた企画を提案したんです。
USENさんが抱えていらっしゃる課題は、「BGMだけではなく店舗のトータルサポートをしている会社なのに、事業内容がうまく伝わっていない」ということでした。「レジや通信など店舗運営における、様々なサポートをしている会社でもあることを再周知させたい」というお話だったなと思い直したことがきっかけです。
それってUSEN全体のイメージから変えるリブランディングの要素に近いのではないかなと感じました。メイン二つのストーリー案に対して、+αの企画として「USENがBGMの会社だと思っている人へ、店舗全体をサポートする事業会社であることを伝える映像」という別軸の提案をしました。
「一つの店舗を舞台にして、照明やレジなどをワンカット風に映すことで、USENが店舗運営全体に関わっていることを表現する」そんなリブランディング要素を強めた企画があってもいいんじゃないかと思ったんですよね。」
3つの企画を提案をした際のお客様の反応はいかがでしたか?
「メイン二案は「皆さんが考えている方向性はこのサクセスストーリーのような感じですかね」という提案でした。それに対して先方も「そうです、イメージ通りです」という風にお互いのイメージの擦り合わせに近かったです。一方で、「BGMだけの会社だと思われてしまうという本当の課題は、この3つ目の企画の方が解決できるんじゃないでしょうか」という提案をしました。
3つ目の企画については「こんな表現もあるんですね」という感じで新鮮さを持たれていたと思います。その時は企画を一度持ち帰っていただいたんですけど、「メインの2案だけでなく、+αの企画も考えて提案してくれたことが嬉しい」と言っていただきましたね。」
結局どの企画が採用されたのでしょうか?
「3つ目の+α企画でした。フィードバックをいただいた際に、代表様から「USENのビジョンを光に見立てて、光の線が一つの店舗内を駆け巡るような表現をしたい」というご要望をいただきました。そこからは担当者さんと一緒に、光の表現を企画に反映させながら詰めていった感じです。
担当者さんも動画制作をされている方だったので、先方がテキストベースでコンテを考えてくれていました。その後で自分達がイメージコンテに起こすといったように協力して、企画の内容も相談しながら詰めていきました。そんな中で「エレファントストーンさんは色々頼みやすいし話しやすいです。このまま一緒に企画をしっかり考えて制作していきたいです。」と言っていただけたのが嬉しかったです。
担当者さんとの話し合いを経て、最後に代表様に提案するときは、ご要望いただいていた“光の表現”もビデオコンテを作成しイメージしやすくなるようご提案しました。その結果、承諾をいただくことができて制作を進めることになりました。」
企画が決まってからの制作はスムーズでしたか?
「スムーズに進みました、と言いたいところですが、いざ撮影というタイミングでインフルエンザになってしまい撮影に参加できなかったんです。関係者全員が「えええ〜」ってなりましたよ(笑)当日は他のディレクターに撮影をお願いしました。なので撮影の話はできないのですが、撮影後の編集も結構コミュニケーションとって相談しながら進めていました。」
編集の際はどんなコミュニケーションをとっていたのでしょうか?
「色々なことが手探り状態だったんですよね。特に大変だったのがUSENさんのサービスの見せ方です。担当者さんとCGやグラフィックス、アニメーションを用いて、未来のサービスの内容をどうやって映像で表現するべきかを一緒に考えていったのが印象に残ってます。
一つ目は、USENさんが関わっている照明やレジなどに光が通過していく点なんですけど、その光の感じはどんな雰囲気がいいのか。例えば光が照明やレジを通過した時の弾かせ方とかですね。本当にその表現でいいのか、っていう部分は担当者さんと話し合いながら進めていきました。
そしてもう一つが、今はまだない将来のサービスを未来感を出して表現することでした。USENさんが構想していたサービスについても映像で表現して欲しいという要望もあったので、今ないサービスを想像しながら映像表現を考えていくのが大変でしたね。「どうしましょうか・・・」という話をひたすらしていました。
例えば、未来のレジ画面にはどんなUIデザインが適切なのかだったり、レジ画面にはどんな項目が映し出されているべきかだったり。他にも、店内カメラが来店されたお客様の概要(来店率や誕生日など)をレジに映し出すサービスとか、お会計を勝手に割り勘して決済してくれるサービスとか。一緒に考えた部分はたくさんあります。
その頃には制作者とクライアントという立場を超えてて、ほとんど同じ制作チームの一員としてやってましたね。お互いしっかりと意見を出し合いながら話せたことは、一緒に作ってる感じがしてすごく楽しかったです。」
たくさんのやりとりを経て一緒に作り上げていったんですね。実際に完成した作品をみた方の反応はどのようなものでしたか?
「USENさんの社内では「いいものができましたね」とか、「サービスの概念やビジョンが分かりやすく表現されてますね」という声があったみたいで嬉しかったですね。USENさんの「事業内容をしっかり伝えたい」という想いも、しっかり映像で表現できたんじゃないかと思います。
USENさんの社内だけでなく、社外での反応もあったんです。この動画をご覧になった別の企業様から、「サービスやビジョンがわかりやすいと思ったので自分たちもやりたいです」と、ご相談をいただくきっかけにもなった作品でした。」
一つの動画が他の動画制作にも繋がっているんですね!
「そうですね。それだけじゃなくて、本作の2年後に「USEN IoT PRATFORM」というUSENさんの新サービス立ち上げの際に、ブランディング動画とサービス紹介動画の制作も依頼していただきました。
本作の制作はコンペだったんですけど、新サービスの映像制作のご依頼をいただいた時はコンペではなく、エレファントストーンに単独指名していただきました。新しく制作したブランディング動画は、本作の続きのストーリーにもなっているんです。企画自体は担当者さんが考えてくれていて、「これを形にしたいんだけど、いかがでしょうか」というご連絡をいただきました。ぜひやりましょうってことで制作することになったんです。
今でも担当者さんは、他の部署の方にエレファントストーンを推薦してくださっているんですよね。継続的に推薦いただけるのってなかなか凄い関係性だなと感じていますし、素直に嬉しいです。」
継続的な関係性ができているというのは、山部さんの対応が安心感につながっていているのではないかと感じました。本動画制作を振り返ってみていかがでしたか?
「お客様を巻き込んで一緒に作っていくってことが体現できたので、それは凄く良かったと思います。作品のクオリティももちろんよかったんですけど、何より過程がすごく楽しいプロジェクトでした。お互いの意見に対して、お互いがしっかり返しあっていたことがよかったんじゃないかなと思います。
ちなみにこれはアナザーストーリーなんですけど、動画が完成した後「山部さんって専門学校はあの桐朋学園なんでしょ」って言われたんですよ。実は担当者さんも同じ学校出身で3つ上の先輩だったんです。在学中は被ってはいなかったんですけど、共通の知り合いもいて驚きました。今考えたら、そういったところでも親近感を持っていただけていたのかもしれません。」
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