エレファントストーンは先日、クラブパートナー契約を締結している川崎フロンターレ様(以下、敬称略)の新入社員研修に協力させていただきました。
研修の実施経緯
今回の研修実施の背景には「事業所や部門を超えた交流を生み、全員で川崎フロンターレという会社をつくっている意識を持ってもらいたい」というコーポレート統括部の吉冨様、杉山様の想いがありました。
組織が拡大中かつ拠点も多い川崎フロンターレは、事業所や部門を超えて深くコミュニケーションする機会をとるのが難しい場面も多く、名前・所属を知っていても、具体的に普段どんな業務をしているのか、どんな想いで働いているのかが見えにくいという背景がありました。
そこで、新入社員研修を通して部署を跨いだ交流を生み、事業所や部門が異なるメンバー同士が互いに興味を持てる組織にしていきたい、また、川崎フロンターレという組織そのものに対する理解も深めてもらいたいと考えられていました。加えて、川崎フロンターレで働く中では社員が選手を撮影したり話を聞いたりしながらコンテンツを制作する機会が多くあるため、その制作の流れを学ぶことも目的の一つとされていました。
今回、この研修の実施にあたり、「川崎OutBreakers」の密着インタビューや弊社オウンドメディアの社員インタビュー等の映像・記事をご覧いただきました。エレファントストーンのそうした実績にご期待いただき、昨年の川崎フロンターレ周年記念映像「FOOTBALL TOGETHER 〜 すべての人と共に歩む私たちの信念」の研修プロジェクトに続き、今回の研修にお声がけいただきました。
エレファントストーンとしても川崎フロンターレのパートナーとして研修を伴走していきたいと考え、どうお応えできるかを検討。最終的に新入社員研修としての「インタビュー映像の制作」という形で協力させていただきました。
社員を知る機会としてインタビューを実施するだけでなく、そのインタビューを映像として残し、川崎フロンターレ全社に展開することで、研修に参加したメンバーだけでなく全社員が普段関わりの少ないメンバーの仕事の様子や仕事にかける想いに気づくことができる。そんな状態を目指して今回の研修をアレンジいたしました。
研修概要
入社後1年以内の新入社員14名が4グループに分かれ、インタビュー映像の企画・撮影・編集までを行うという研修。事前にエレファントストーンメンバーがインタビュー映像制作のノウハウをレクチャーし、編集の段階ではエレファントストーンのディレクターと完成形をつくっていただくという流れで進行しました。
【研修のゴール】
・部署を超えた交流・理解を生むこと
・川崎フロンターレの人・仕事に対する解像度を上げること
【研修参加者】
・川崎フロンターレ入社後1年以内の新入社員14名
【研修の流れ】
・講義① 良いインタビュー映像とは?
・講義② 良いインタビュー映像をつくるには?
・実践① インタビュー映像撮影
・実践② インタビュー映像編集&試写会
今回の研修の鍵は“コミュニケーション”。コミュニケーションをとる上では、ただ自分の意見を伝えるだけではなく、他者の話を聞くことも重要です。そこには相互の協力が必要。インタビュー映像を制作するメンバー同士のコミュニケーション、インタビュイー(インタビューを受ける人)とのコミュニケーション、エレファントストーンメンバーとのコミュニケーション。今回の研修ではその企画段階から普段関わりの少ない人同士のコミュニケーションが重視されていました。
研修の様子
今回の研修は、参加者の皆さまになぜ「インタビュー映像をつくる」研修を実施するのかをお伝えするところからスタートしました。
講義① 良いインタビュー映像とは?
本研修の意図をご説明した後は、早速研修がスタート。研修参加者の皆さまの内、インタビュー経験のある方はほとんどいません。そのため今回の研修にあたり、皆さまにはまず複数のインタビュー映像を比較して「良いインタビューとは?」という点を考えていただきました。
参考映像を比較した際、皆さまからは「視聴者が知りたいこと・インタビュイーの本音を感じるのが良いインタビューなのではないか」という意見が出たと同時に「用意されたコメントを話している印象で、あまり本音とは感じられないものがあった」「インタビューのやり方次第で実際の印象と異なるイメージが伝わってしまいそう」という意見が。
事例を元にインタビューを客観視することで、普段のコミュニケーションと同様に、良いインタビューには“インタビュイーとインタビュアー(インタビューをする人)相互の協力が重要”ということを感じていただきました。
また、今回インタビュイーに選ばれたのは、川崎フロンターレの各部署の第一線でキャリアを切り拓かれている4名の方。研修参加者と業務上での関わりが少ない方ばかりだったため、人となりを事前に知り、部署を超えた交流・理解を深める準備をするべく、インタビュイーと関わりの深い別の社員の方へのヒアリングも並行して実施。インタビューで本音を引き出すにはどんな準備が必要なのかを検討していただきました。
講義② 良いインタビュー映像をつくるには?
今回の研修では、カメラを向けながらインタビューしていきます。ただ、カメラを向けられるとそれだけで緊張する方が多いため、通常と比較して自然なコミュニケーションがとりにくい傾向にあります。
実際、インタビュアーになる新入社員の方に“カメラに向かってインタビューを受ける”というシチュエーションを体験いただいた際は「撮られている・見られている感が強く、本音が言いづらくなる」との声が上がりました。
そのため、今回はこの“緊張感をいかにほぐし、その人にしか語れない本音をどう引き出すか”が重要に。新入社員の皆さまには、インタビュー当日にインタビュイーとどうコミュニケーションをとるとリラックスした状態になってもらえるかまで考えていただきました。
また、インタビュー映像の撮影方法の基礎は、弊社ディレクターがレクチャー。光の当たり方により与える印象に変化が出ること、インタビューする環境によって緊張感のコントロールが可能なこと等を共有し、技術的な側面からも映像をみる方・インタビュイー・インタビュアーの快適なコミュニケーションをフォローできることをお伝えしました。
その後、新入社員の皆さまにはディレクターからのレクチャーを踏まえて、“当日何を聞くのか・どこで撮影するのか”を考えていただき、インタビュー内容・スタイルと映像の撮影方法をシミュレーションしていただきました。
「オフィスでの撮影はみんながいるから緊張するかな?」「かしこまって撮るよりもいつも業務してる場所で撮影した方がリラックスできるよね」等、インタビュイーの本音を引き出すためにはどうするべきか、という観点での話し合いが進んでいきます。中には「同じ質問でも違う場所で撮ったら回答が変わるかも?」という鋭い意見も。引き出したい言葉とインタビュイーの気持ち、両者を考慮しながら撮影計画を練っていただきました。
実践① インタビュー映像撮影
今回の研修では、撮影場所・撮影スタイル・インタビュー内容は全て新入社員の皆さまに計画いただきました。撮影に密着させていただいたグループでは、グッズのマーチャンダイジングを担当する方へのインタビューを実施。撮影にあたって、大きく三つのロケーション(オフィス・スタジアム・グッズショップ)で撮影する計画を立てられていました。
当日は、インタビュイーを知らない他の社員の方にグッズグループの普段の様子やバックオフィス業務(仕入れ・在庫管理等)の内容がリアルに伝わるよう、スタジアムや倉庫での普段の業務を映すインサートカットを撮影したり、インタビュイーの想いを伝えるためにしっかり話を聞くインタビューカットを撮影したり。実際に業務やその人を知っていないと何をやっているか・どんな想いを持っているのかイメージしづらい部分を解消できるよう、こだわって撮影されていました。
事前準備の段階で「普段関わりが少なくどんな業務をしているのか、何をどう聞いたらその人らしさを引き出せるのかが分からず難しい」と悩まれていたグループメンバーの皆さま。インタビュー当日は一転、「このシーンを撮ったら業務の様子が伝わりやすいかも」「この話をしてもらいたいけどできそうか」「ここで映像を切り替えよう!」等、インタビュイーの方と会話しながら終始和やかに進行されていたのが印象的でした。
インタビュイーの方から「“特にバックオフィスの業務はイメージしづらいと思うから、普段こんなことをしているよ”っていうことをもっと社内に知ってもらうために、みんなが作業してる様子も映してほしい!」という声も上がり、インタビュー撮影ならではの双方向なコミュニケーションが生まれていました。
撮影を終えたグループメンバーの方からは「インタビュー映像を制作する研修ですが、その映像をつくるまでの準備があるからこそ聞ける話があったり、インタビュイーのことを考えるからこそ生まれるコミュニケーションがあったりしたことに気づきました。自分が意見を言うだけでなく、相手と対話するからこそコミュニケーションが成立することを実感した機会でした」とお話しいただきました。
実践② インタビュー映像編集&試写会
撮影素材が集まった後は、エレファントストーンのディレクターとの編集の工程です。4グループそれぞれにディレクターが1名ずつ参加し、インタビューの企画段階で決めた“映像を通して伝えたいこと”を軸に、どのシーンを映像に使用するかをグループメンバーの皆さまと決めていきます。
インタビュー準備〜撮影を通して参加者の皆さまが実感したインタビュイーの魅力を知らない方にも届けるために「この映像が、見る人にどう受け取られるのか」「どうすればインタビュイーが魅力的に映るか」を客観的に考えていただきました。参加者の皆さまからは「この話は人柄が伝わるから残したい」「この話も良いな〜」等、撮影素材が良いが故のお悩みの声が。インタビュイーとの関係性ができたからこそ、その魅力を知らない人に届けたいという想いが増していた印象でした。
各グループのインタビューはその場で仮編集して研修に参加した全員の前でお披露目。鑑賞中、時には笑いが起こる等、各グループ・インタビュイーの方の色が出た映像に仕上がっていました。
試写会を経て、研修参加者の方からは「個人の役割が分担されている中で、今まであまり知らなかった同僚の業務や想いを知ることができたのも貴重でした。今回の研修を通して、深い関わりのない方とのコミュニケーションのとり方を改めて学ぶことができましたし、こうして他の人を知ることが、今後協力が必要な時のスムーズなやり取りにも繋がるのではないかと思います」と感想をいただきました。
この後エレファントストーン側で映像を仕上げ、川崎フロンターレ全社員に向けて公開されました。
研修を振り返って
本研修を終えて、今回の新入社員研修をご担当されたコーポレート統括部の吉冨様からは以下の通りコメントをいただきました。
「今回の研修は“双方向のコミュニケーション”を生むことを目的に実施しました。特に“伝える”だけでなく“聞く”コミュニケーションは、社内外問わず働く上で重要です。その大切さを、普段関わりが少ない同僚や社外の人と協力して映像をつくる過程で体験してもらおうと考えていました。
また、研修のもう一つの目的には“会社をつくる人を知る”ということも掲げていました。縦割りの組織では誰が何をやっているか分かりにくいことが多いですが、分からないままでは“みんなで”会社をつくっているという感覚が持ちづらくなるケースが多いと思います。そのため、他の事業所や部門に所属するメンバーから学ぶ機会をつくることで、各メンバー・部署への尊敬が自然に生まれる状態にしたいと考えていました。
今回の研修で普段関わりの少ないメンバーの活躍・想いを知ったことが、川崎フロンターレを“みんなで”つくる意識を持つきっかけになっていたら良いと思います。同時に、“他のメンバーについて知る機会が多くない=自分が業務としてやっていること・普段考えていることを社内にしっかり発信・アピールすることも重要”であると気づくきっかけになっていたら嬉しいです。
こうした取り組みを経て、今後は今以上に事業所や部門を超えて互いに興味を持ち、助け合える組織をつくっていきます」
川崎フロンターレ周年記念映像「FOOTBALL TOGETHER 〜 すべての人と共に歩む私たちの信念」、「川崎OutBreakers」の密着インタビュー映像、弊社オウンドメディアの社員インタビューの記事の実績を通してエレファントストーンにご期待いただき、実現した今回の研修。映像のプロとしてこうした形で協力させていただくことができ、嬉しいです。
これからも、エレファントストーンは映像の力で川崎フロンターレを応援します。