エレファントストーンは先日、伊勢原市立比々多小学校様(以下、比々多小学校)を訪問し、伴走型映像制作サービス ROOT※1にて企業の価値観を抽出するため使用するオリジナルボードゲーム「THE KACHINKO」を先生方に体験していただきました。
当日は、議論テーマを『比々多っ子※2にこう育ってほしい!人物像』に設定し、楽しみながら大切にしたい価値観を抽出していただきました。
※1 ROOTとは、企業・サービスの根っこを掘り起こし、映像化まで導くサービスです。インタビュー、アンケート、オリジナルボードゲームを通して発掘された価値観をもとに、お客様と一緒に映像制作を行います。
※2 比々多っ子とは、比々多小学校の児童のことを指す言葉です。
比々多小学校での「THE KACHINKO」実施の経緯
比々多小学校で5年生の担任を務めている山本先生からのお問い合わせにより実現した本企画。
お問い合わせのきっかけは、エレファントストーンがクラブパートナー契約を締結している川崎フロンターレ様とROOTを活用して制作した『FOOTBALL TOGETHER 〜 すべての人と共に歩む私たちの信念』をご覧いただいたことでした。
川崎フロンターレ様とのROOTプロジェクトで使用した「THE KACHINKO」のゲーム性に興味を持っていただき、映像制作現場だけでなく、小学校の学級のチームビルディングや先生方の研修等、教育現場にも活かせるのではないか、と可能性を感じていただいていました。
そして、「児童がより主体的に考えられる環境をつくりたい」という山本先生の想いにエレファントストーンが強く共感し、学校研究会の場で先生方にこのボードゲームの良さを知っていただくための体験会を実施させていただく運びとなりました。
こうした機会は「THE KACHINKO」の魅力や価値を自分たち自身が認識する機会にもなり得ます。「PRIDING COMPANY=誇りを創る会社」としての自分たちの仕事やサービスに対する誇りを醸成することにも繋がるのではないかと考えていました。社内で有志のメンバーを募集し、8名が集まり実施に至りました。
当日の様子
当日は全体で30名の先生にご参加いただきました。そこで、まず「この企画が始動した経緯」や「エレファントストーンとは?」「THE KACHINKOとは?」をご参加いただいた先生方にご説明しました。
イントロダクション終了後、6グループに分かれて早速「THE KACHINKO」を体験していただきました。前半では「自分が大切にしたい価値観を抽出し、グループに共有する」、後半では「グループ内で意見交換しながら最も大切にしたい価値観を4つに絞る」という大枠の流れで進行していきます。
まず最初に、用意されているカードに書かれている価値観に繋がる言葉の中から各々が思う「比々多っ子にこう育ってほしい!」を導き出していきました。カードには全て異なる言葉が書かれています。
順番に山札からカードを引き、自分が大切だと思う価値観に繋がる言葉が書かれたカード3枚を手元に残します。この工程を繰り返し、不要になったカードはテーブル中央の火山に捨てていきます。カードを捨てる場合は、そのカードがどうして不要なのかをグループメンバーに伝えます。この段階ではメンバーと相談せず、自分自身で考えるプロセスを大切にしています。
次に「なぜそのカード(=価値観)を残したのか」を伝えながら個人で抽出したキーワードをチームメンバーに共有します。各カードを残した理由を他者に伝えることで、自分で考えていることと他者が考えていることとの違いに気づいたり、共通点に気づいたりすることができます。
また、この段階で言葉のカテゴリー分けも行います。今回はフィールドに「自身の行い」「自身の心」「周囲への行い」「周囲への心」という4つのカテゴリーをつくり、選んだ言葉がその内のどこに分類されるのかを考えていただきました。
カテゴリー分けした後は、チームメンバーと話し合いながら、その中でも特に大切にしたい価値観4つを抽出していきます。一つひとつの言葉がどんな意図で選ばれたのかを考えながら、チームみんなの想いにぴったりと合う言葉を探していただきました。
腕を組みながら悩んだり、「これは大事にしたいよね〜!」「これは子どもたちみんなもう十分持ってると思う!」という声が上がったり。どのチームも盛り上がっていました!
全員が意図を持って抽出した価値観の中から、さらに大切にしたい言葉を選んでいくことで、意見統合の難しさを体感していただけると同時に、他者の価値観を理解しようとする一体感も醸成されます。話し合いの中で、より大切にしたい価値観(=今のカードには書かれていない言葉)が出てきた場合は新しい言葉として新たにカードをつくることも可能です。
4つの価値観を掘り起こした後は、各グループの『比々多っ子にこう育ってほしい!人物像』を発表していただきました。どのグループからも共通して出てきた言葉は「自立(個立)/自律」。他にも「繋がり」「コミュニケーション」どちらも大事にしてほしいという想いから「つながれーしょん」という造語が生まれたり、「感謝や挨拶、時には謝ることも、その基本をしっかりできる人に育ってほしい」という想いから「THE KACHINKO」史上初めて絵文字(祈るポーズ)で価値観が表現されたりしました。
同じ言葉を選んでいても込められた想いが違ったり、他に選んだ言葉との関係性によって捉え方の可能性が変わったり。色々な意見が出たことで、大切にしたい価値観を再発見していただけたのではないかと思います。
今後への期待
「THE KACHINKO」を体験いただいた後、先生方からは以下のような嬉しい感想をいただきました。
「大切にしたい言葉を選び、捨てるを繰り返す工程では葛藤が生まれた一方、とても楽しかったです。残していく言葉には色々な人の想いが込められているからこそ、『なぜ手放さなければいけないのか?』を考えてまとめていくことに難しさを感じました。言葉についてより深く考える時間となりました。子ども用があれば児童ともぜひやってみたいです」
「児童についての考えを共有する機会はあまりつくれていなかったため、改めて考えを知ることができるとても良い時間でした。自分の考えと相手の考えを大切にすることの難しさ、そこから意見を一つにまとめることの大変さ・楽しさを改めて感じることができました。子ども達にもこんな経験をしてもらいたいです」
また、今回エレファントストーンに声をかけてくださった山本先生からは今後の「THE KACHINKO」の可能性にご期待いただきました。
「大人でも子どもでも、話し合いの中で本音が出てこないケースは多いですが、今回はボードゲームが各自の意見共有を促すきっかけになるのではないかと考えていました。
実際、今回THE KACHINKOを体験することでみんなが自分と相手の意見を尊重しながら大切にしたい価値(言葉)を再発見していけました。また、“自分で考える、意見を共有する、一緒に考える”というプロセスを経ることで抽出した価値に納得感が生まれるTHE KACHINKOの良さを実感しました。
さらに、真面目になりすぎるケースも多い話し合いという場面でワクワク感を醸成できるというところも魅力に感じました。THE KACHINKOを通して『他の人の意見を積極的に聞きたくなった』のには自分自身も驚きました。自分たちで体験してその良さを実感できたからこそ、今後は子ども達と一緒に活用できるようにしていきたいなと思っています。
教育現場では私たち教師が大切にしている価値観を子どもが踏襲する形になってしまう場面が多いなと感じています。例えば、私はよく“けじめ”“メリハリ”等の言葉を使うのですが、クラス目標を立てる時に高頻度でその言葉が入ってくるんですよね。もちろんその言葉は大切にしてほしいと思って伝えているのですが、自分が伝えていない他の言葉=価値観も大切にして良いんだよとも伝えていきたいです。
そして、その過程を児童自身に楽しんでもらえるのがTHE KACHINKOなのではないかと期待しています。教師として価値を示すだけでなく、それだけが大切な価値観じゃないんだよと伝えられるきっかけとなる。そして、教師も子どもたちが本当に欲しかった価値に気づける。ゆくゆくはそういうツールになる可能性があると感じています」
先生方の愛を感じた今回の比々多小学校「THE KACHINKO」体験会。今後どんな発展があるのか、ぜひご注目ください。
ROOTの実績
今回の企画が始動したきっかけとなった「THE KACHINKO」を用いたROOTの映像制作実績はこちらです。ぜひご覧ください。